アングル:欧州の保険と年金、利回り求め不動産に危険な賭け

欧州では、これまで保守的な資金運用を旨としていた保険会社や年金基金が高リスクの不動産セクターへの投資を拡大している。超低金利により主な投資手段だった債券から十分な利回りが確保できなくなったためだが、業界全体としてこの分野での経験が乏しく、監督当局や専門家からは今後好ましくない事態が起きることを心配する声も上がっている。

保険会社や年金基金の不動産セクター投資は、英地方部での新築住宅からブリュッセルの空港に隣接する駐車場まで多岐にわたる。形態は出資が大半を占めるが、世界金融危機以降に銀行が事業を縮小している不動産担保ローンの提供にまで進出してきた。

スウェーデンの保険会社AFAのヨハン・ヘルト氏は「銀行は二歩も三歩も身を引き、与信の規模は以前と異なる。多くの保険会社がこの分野に足を踏み入れ、穴埋めしている」と指摘した。AFAは200億ユーロ(220億ドル)の資金の7分の1を不動産に充てている。

現状では少なくとも欧州北部の多くの都市では、利回りで不動産が債券など保険や年金が通常投資する商品を大幅に上回っている。各国中銀が景気浮揚のために大量の流動性を供給しているためだ。

しかし不動産は返済能力の低い借り手向けのサブプライムローンが先の金融危機で震源地となっただけに、保険や年金による投資拡大に監督当局は警戒を強めている。

また不動産バブルへの懸念も聞かれる中、このセクターの経験が浅い保険会社がリスクを過小評価する恐れもあると当局は懸念している。年金基金が投資に失敗すれば、最終的に高齢者は定年後の生活資金を失うことになりかねない。

FAFのヘルト氏はこうした懸念を一蹴。「価格上昇が永遠に続くことはない。だが賃貸住宅の需要が伸びている限り物件価格についてはあまり心配しない。金利が低水準を続ければなおさらだ」と話した。