中国不動産にのしかかる通貨・政治リスク

先週、香港で開かれたアジア金融フォーラムで注目を集めた講演者の一人が、中国一の富豪で、数々の事業の一つとして不動産会社の大連万達商業地産を率いる王健林氏だった。

■中国の銀行融資、30~40%は不動産を担保

 コンベンションセンターを出入りする際、王氏はボディーガードの群れに囲まれていた。行方不明になる中国人実業家が後を絶たないなか、ボディーガードは香港の風景の一部としてますます目に付くようになっている。ただし、共産党からの呼び出しに対してはほとんど役に立たないのだが。

いずれにせよ、王氏のボディーガードたちは、その2日後に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が大連万達商業地産の信用格付けの見通しを「ネガティブ」に引き下げるのを止めることはできなかった。S&Pはこう指摘した。「債務が予想水準を超え、不動産販売が予想以上に減少すれば、今後12カ月間にわたって負債比率がさらに悪化する恐れがある」

 不動産はどこでも重要だが、特に中国では経済動向に占める重みが大きい上に、住宅価格が手の届く範囲にあることが社会の安定に極めて重要な意味を持つ。また、不動産は中国の一般市民が蓄えを投資できる数少ない対象でもある。その中国で今、あらゆる種類のリスクが不動産会社を見舞っている。実際のところ、企業部門の信用リスクをめぐる不安の大部分は、経済減速の中で巨額の借り入れを抱えた不動産会社を焦点としている。